【保存版】原始反射の種類と発達への影響・支援方法について理学療法士が詳しく解説します
こんにちは!
「子育てのみかた どれみのびじょん」理学療法士の石川隆志です。
今回は、【原始反射】について、小学生のお子さんをお持ちの保護者様に向けて、わかりやすく、そして専門的に解説していきます。
特に「どんな種類があるの?」「残っているとどんな影響が出るの?」「支援方法は?」という点をしっかりお伝えしていきます!

1. 原始反射とは?
原始反射とは、
赤ちゃんが生まれつき持っている本能的な反応のことを指します。
たとえば、
- 抱き上げたときに手足をバッと広げる(モロー反射)
- 手に何かが触れるとぎゅっと握る(手掌把握反射)
これらは赤ちゃんが生きるために必要な本能的な動きですが、成長とともに脳が発達すると自然に消失していきます。
そして、より複雑な運動や感情コントロールができるようになっていきます。
重要なのは、原始反射が「消失」または「統合」されることです。
2. 原始反射が残存するとどうなる?
もし、原始反射が十分に統合されずに残ってしまうと──
- 姿勢保持がうまくいかない
- 目と手の協応がぎこちない
- 感覚の過敏や鈍麻が出やすい
- 読み書き、運動、集中に困りごとが起こる
- 不安感が強い、落ち着かない
といった「発達上のつまずき」が起こりやすくなります。
つまり、原始反射の統合は、発達の土台を築くためにとても大切なプロセスなのです。

3. 代表的な原始反射と特徴
ここから、代表的な原始反射を詳しく紹介していきます!
モロー反射(Moro Reflex)
特徴
- 赤ちゃんが急な刺激(音や揺れ)に驚くと、手足を大きく開き、すぐに抱きつくように動かす反応。
残存すると
- 音や刺激に過敏になる
- 落ち着きがなく、集中が続かない
- 不安感が強い
非対称性緊張性頸反射(ATNR)
特徴
- 頭を左右に向けると、その向きに同側の手足が伸び、反対側が曲がる。
残存すると
- 書くときに体がねじれる
- 板書が苦手(黒板からノートへ目線をスムーズに移動できない)
- 両手の協調が難しい
対称性緊張性頸反射(STNR)
特徴
- 首を上げると腕が伸び、脚が曲がり、首を下げると腕が曲がり、脚が伸びる。
残存すると
- 机に向かって座る姿勢が崩れやすい
- 書字姿勢が安定しない
- クロールや平泳ぎなど両手両脚の別々の動きが苦手
緊張性迷路反射(TLR)
特徴
- 頭を後ろに反らすと体が伸び、頭を前に倒すと体が丸まる。
残存すると
- 姿勢保持が困難
- 座っているだけで疲れる
- バランス感覚に問題が出やすい
手掌把握反射(Palmar Grasp Reflex)
特徴
- 手に触れると無意識にぎゅっと握る反射。
残存すると
- 筆記具の握りが強すぎたり弱すぎたりする
- 手先の器用さが育ちにくい
4. 原始反射が残っているサインとは?
もしお子さんにこんな様子が見られたら、原始反射の残存が疑われるかもしれません。
- 音や刺激に過敏、または鈍感
- じっと座っていられない
- 姿勢が崩れやすい
- 書字や読書が苦手
- ボール遊び、リズム遊びが苦手
- 力加減が難しい
- 不安感が強く、切り替えが苦手

5. 原始反射統合の支援方法
では、残ってしまった原始反射はどう支援していけばよいのでしょうか?
答えは、
「楽しみながら行える遊びや活動などを通じて統合を促す動き」を少しずつ無理のない範囲で継続して行っていくことです!
原始反射を統合するためのエクササイズ
ここでは、代表的な原始反射とその統合を促すエクササイズをご紹介します。
🔹 モロー反射(驚き反射)の統合
特徴:
大きな音や揺れなどに対して手足を大きく広げる反射。過敏さや注意の持続困難と関係。
エクササイズ:星のポーズ
- 仰向けに寝て、手足を大きく広げて深呼吸。
- 両手両足を身体の中心にゆっくり寄せて「丸くなる」動き。
- 再び広げて「星型」のポーズに戻る。
→ 呼吸を意識しながらゆっくり5回ほど繰り返す。
🔹 緊張性迷路反射(TLR)
特徴:
頭の位置によって筋緊張が変化。姿勢保持やバランスに影響。
エクササイズ:おにぎりごろごろ
- 丸まった姿勢でうつ伏せや仰向けからゆっくり前後にゴロゴロ転がる。
- 軸を保ちながら頭を動かすことで前庭系に刺激。
→ 柔らかいマットなどで安全に実施。
🔹 ATNR(非対称性緊張性頸反射)
特徴:
首を左右に回すと、同じ側の手足が伸び、反対側が曲がる。書字や視線移動に影響。
エクササイズ:丸太ごっこ(ローリング)
- 仰向けでまっすぐな姿勢。
- 首をゆっくり回しながら、全身を使って左右に転がる。
- 頭と身体を同時に動かす。
→ リズミカルに左右3往復ほど。
🔹 STNR(対称性緊張性頸反射)
特徴:
頭の上下運動に伴って腕と脚が逆に反応。四つ這い姿勢の形成や机上作業に関与。
エクササイズ:ワニ歩き
- 床にうつ伏せになり、腕と脚を交互に動かして進む。
- 頭の上下動と連動させる。
→ ゆっくり前進しながら10歩ほど繰り返す。
🔹 探索・吸啜反射の名残がある場合(口周囲の過敏など)
エクササイズ:ストローでの吸い込み遊び
- 太めのストローを使って、水やスムージーを吸う。
- 吸う→飲み込む→呼吸の協調を高める。
→ 統合を促すだけでなく、口腔機能にも効果的。
🔸 エクササイズ実施のポイント
- ✅ 毎日数分でも継続が大切
- ✅ 呼吸を意識してゆっくり実施
- ✅ 強制せず、楽しめる遊び感覚で
- ✅ 専門家のサポートを受けながら行うと安心
6. 実際の支援事例
【ケース1】落ち着きがなかった小2男子
課題
- 急な音や刺激でびっくりしやすく、教室で集中できない
アプローチ
- モロー反射統合エクササイズを遊びのなかで少しずつ毎日実施
- バランス感覚を育てる運動遊びも併用
結果
- 集中力が向上
- 先生から「落ち着いて学習に取り組めるようになった」との報告
【ケース2】姿勢が安定しなかった小3女子
課題
- 机に向かうとすぐに体が崩れてしまう
アプローチ
- STNR、TLRの統合エクササイズを組み合わせて支援
- ビジョントレーニングも同時に実施
結果
- 姿勢が安定し、書字スピードも向上!

7. どれみのびじょんの取り組み
私たち「どれみのびじょん」では、
理学療法士と看護師のチームによる専門的な知識をもとに、
- 原始反射統合支援
- 感覚統合支援
- ビジョントレーニング
- 心と身体のケア
を総合的に組み合わせたサポートを提供しています。
「お子さんの本来持っている力を引き出す」ことを何より大切にしています。
まとめ
原始反射は、赤ちゃんの時期に誰もが持っている自然な反応です。
しかし、成長に伴い統合されていくはずの反射が残ると、
学習面・運動面・心の安定にも影響を及ぼす可能性があります。
「ちょっと気になるな」と思ったら、
どうぞ早めに専門家に相談してみてください。
どれみのびじょんは、子どもたちの小さな「できた!」を大切に、未来を応援しています!

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